防風通聖散が妊娠中~授乳中の赤ちゃんに与える影響

防風通聖散を妊娠中~授乳中に飲んでもいい?

 

防風通聖散は、便秘の治療などで妊婦に処方されることもある漢方(医薬品)となります。そういう意味では「妊娠中に利用することもある」と言うことはできます。しかし、一方で「妊娠中は避けるべき」という意見も見られます。そのため、「どうすればいいの?」という妊婦さんも多いでしょう。

 

ここでは、防風通聖散が妊娠中のママや胎児に与える影響について徹底解説します。

 

 

防風通聖散を妊娠中に服用するのは注意が必要

 

まず結論から言うと、防風通聖散は妊娠中はできれば服用しない方がよいとされています。

 

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。
参考ページ:防風通聖散添付文書

 

↑は防風通聖散の添付文書(説明書のようなもの)の一節になりますが、「投与しないことが望ましい」と明記されています(理由は後で詳しく解説します)。あくまで「望ましい」ということなので、妊婦が頑固な便秘に悩んでいる場合、リスクよりも効果をとって処方するケースはあります。しかし、やはり原則としてはできるだけ服用しないほうがよいのです。

 

なので、考え方としては以下の通りとなります。

 

医師が必要と判断して処方した → OK
自己判断での購入 → なるべく避ける

 

もちろん、タバコやお酒のような強いリスクがあるわけではありません。とはいえ、「少しでもリスクがあるなら、万が一を考慮して、自己判断はやめておこう」と考えるのが無難でしょう。

 

リスクその1:大黄に含まれる【アントラキノン】

 

防風通聖散には18種類の生薬が配合されています。それらの生薬の効果が絡み合って、肥満症や便秘、むくみなどへの効果が発揮されるわけです。ただ、その18種類の生薬の中には、「妊娠中は注意が必要」とされている生薬があります。それが、「大黄(だいおう)」です。

 

アントラキノン クリソファノール、エモジン、アロエエモジン、レイン、フィシオン
ビアントロン センノシドA,B
タンニン ラタンニンⅠ,Ⅱ、RGタンニン
その他 トラクリソン8-グルコシド、リンドレイン

 

↑は大黄に含まれる成分の一部となり、瀉下(しゃげ)作用、抗炎症・鎮痛作用や抗腎不全作用、抗菌活性作用などが得られます。

 

しかし、このうちアントラキノンについては、子宮収縮作用や骨盤内蔵器の充血作用があることがわかっています。妊娠していなければ、子宮収縮作用があってもそれほどリスクはありません。しかし、妊娠中に子宮収縮作用が起きるということは、それだけ赤ちゃんが早く産まれやすくなるということなので、早流産のリスクがあるということになります。

 

もちろん多くの場合大きな問題にはなりませんが、万が一を考えると自己判断での使用は避けたほうがよいと考えたほうがよいでしょう。

 

リスクその2:麻黄に含まれる【エフェドリン】

 

防風通聖散には「麻黄(マオウ)」という生薬も使われています。この麻黄には「エフェドリン」と呼ばれるアルカロイドが含まれているのですが、実はこのエフェドリンは風邪薬やぜんそく治療薬などにも配合されている医薬成分なのです。市販の風邪薬の成分一覧を見ると、「エフェドリン」と書かれていることが多いです。

 

そしてこのエフェドリンですが、妊娠中は「ややリスクがある」成分とされています。アメリカのFDA(日本で言えば厚生労働省)の基準である「FDA薬剤胎児危険度分類基準」によると、カテゴリー「C」に分類されています。
参考ページ:Ephedrine Pregnancy and Breastfeeding Warnings

 

カテゴリーA 葉酸
カテゴリーB カフェイン、アセトアミノフェンなど
カテゴリーC エフェドリン、ロキソニン、デパスなど
カテゴリーD タバコ、お酒
カテゴリーX サリドマイド、ワーファリンなど

 

他のカテゴリーと比較すると、↑のようになります。Aが安全で、Xが禁忌となるので、ちょうど間くらいです。カテゴリーDのタバコ、お酒に比べるとリスクは低いですが、カフェインよりは上のカテゴリーなので、全くリスクがないとは言い切れないレベルと言えます。

 

風邪薬くらいであれば、数日間服用するだけなのであまり問題にはなりません。しかし、防風通聖散の場合は服用期間が長くなりやすいので、医師の処方なら別ですが、自己判断で長期服用するのはやめたほうが無難です。

 

なお、この基準はあくまで「妊娠中のリスク」の基準なので、妊娠中でなければ、用法・用量を守っていれば防風通聖散の服用は問題ありません。

 

妊娠中に防風通聖散を服用してしまっていた場合は?

 

防風通聖散は薬局で誰でも買えるので、妊娠中に知らずに服用してしまっていた、というケースもあるでしょう。

 

その場合、心配であれば服用は中止すべきです。ただ、ややリスクがあるからといって、出産をあきらめてしまうほどではありません。むしろ、心配になりすぎてストレスをためるほうがよっぽど赤ちゃんには悪影響があるので、気にしすぎないようにしましょう。

 

防風通聖散は授乳中は服用OK?

 

どんな医薬品であっても、ママが医薬品を服用すると、母乳にもその成分が含まれてきます。赤ちゃんがその母乳を飲めば、赤ちゃんの体の中に成分が摂りこまれることになります。もちろん、母乳に含まれる成分はごく微量ですが、赤ちゃんの体はまだ小さいので微量でも影響は受けやすいです。そのため、授乳中に安全に服用できる医薬品はかなり少ないです。

 

授乳中の婦人には慎重に投与すること。

 

防風通聖散の場合も、添付文書には↑のように「慎重に投与すること」と書かれており、注意が必要とされています。ただ、妊娠中の「投与しないことが望ましい」に比べると、多少ゆるい表現にはなっています。

 

理由の1つとして、授乳中の場合、妊娠中と違って赤ちゃんの様子が目に見えるため、対処しやすいのがあります。「副作用は何がある?下痢や吐き気が出る場合もある」のところで解説したように、授乳することで赤ちゃんに下痢などの症状が出る可能性があるので、もし下痢するようなら防風通聖散の服用は中止するようにしましょう。

 

あるいは、母乳育児はやめて、完全ミルク育児に移行するのも手です。そうすれば、母乳の中の成分が赤ちゃんにわたることはなくなるので、リスクから完全に切り離すことができます。初乳にはママの免疫物質が含まれているので飲ませたほうがいいですが、ある程度経ってからはミルク育児に移行するのもアリです。