防風通聖散の併用禁忌・注意の医薬品

防風通聖散の併用禁忌・注意薬まとめ

 

たいていの医薬品には、飲み合わせに問題がある「併用禁忌」「併用注意」の医薬品があります。

 

防風通聖散の場合、まず「併用禁忌」にあたる医薬品はありません。そのため、無条件で併用できない医薬品は存在しないので、その点は安心してください。

 

ただし、「併用注意(慎重な併用が必要)」な医薬品については、いくつかあります。ここで紹介していくので、押さえておきましょう。

 

 

防風通聖散と「併用注意」の医薬品とは?

 

防風通聖散と「併用注意」となる医薬品については、添付文書からチェックすることができます。

 

薬剤名

薬剤の内容

リスク

マオウ含有製剤

マオウ配合の漢方

交感神経刺激作用の増強

エフェドリン含有製剤

風邪薬、ぜんそく治療薬など

交感神経刺激作用の増強

MAO阻害剤(エフピー)

パーキンソン病治療など

交感神経刺激作用の増強

甲状腺製剤(チロキシンなど)

橋本病治療など

交感神経刺激作用の増強

カテコールアミン製剤

昇圧など

交感神経刺激作用の増強

キサンチン系製剤(テオフィリンなど)

ぜんそく治療など

交感神経刺激作用の増強

カンゾウ含有製剤

カンゾウ配合の漢方

偽アルドステロン症のリスク増

グリチルリチン酸製剤

美容用品など

偽アルドステロン症のリスク増

参考ページ:防風通聖散添付文書

 

↑が防風通聖散と併用注意となっている医薬品の一覧となります。

 

注意すべきリスクとしては、

 

  1. 交感神経刺激作用の増強
  2. 偽アルドステロン症のリスク増

 

の2つがあります。

 

交感神経刺激作用の増強

 

防風通聖散には交感神経を刺激する作用がありますが、交感神経が刺激されると

 

  1. 気管支拡張
  2. 血圧上昇
  3. 心機能アップ

 

などの状態になります。そのおかげで肥満症などに効果があるわけです。ただ、他に交感神経刺激作用がある医薬品を併用すると、その作用が強く出過ぎてしまい、血圧が上がりすぎたり、動悸が出たりといった可能性があるのです。

 

偽アルドステロン症

 

防風通聖散には、まれに「偽アルドステロン症」の副作用が出ることがあります。そして、併用する医薬品の種類によっては、偽アルドステロン症の可能性がアップしてしまうことがあるのです。

 

⇒ 副作用は何がある?下痢や吐き気が出る場合もある

 

さて、防風通聖散の併用注意については、意外と数が多いように思えますが、処方薬(病院で出してもらう薬)に関しては、医師に「防風通聖散を飲んでいる」と伝えておけば適切に医薬品を選んでくれるので、普段はそれほど気にする必要はありません。

 

問題は、市販薬を自分の判断で購入する場合となります。

 

  1. マオウ含有製剤
  2. エフェドリン含有製剤
  3. カンゾウ含有製剤
  4. グリチルリチン酸製剤

 

↑の4つについては、漢方や風邪薬も含まれているので、知らないうちに併用してしまうケースがありえます。どんなものが該当するのか、見ていきましょう。

 

マオウ含有製剤

 

マオウ(麻黄)は生薬の一種で、さまざまな漢方薬に配合されています。つまり、「マオウ含有製剤」というのは、基本的には「マオウが入っている漢方」という意味と考えて問題ありません。マオウは防風通聖散にも配合されているので、併用することでマオウの取りすぎになってしまう可能性があるということです。

 

漢方薬 効果・効能
葛根湯(かっこんとう) かぜ、インフルエンザなど
麻黄湯(まおうとう) かぜ、インフルエンザなど
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう) やけど、関節痛など
五虎湯(ごことう) せき、ぜんそくなど
五積散(ごしゃくさん) 腹痛、生理痛など
小青竜湯(しょうせいりゅうとう) ぜんそく、鼻づまりなど
神秘湯(しんぴとう) ぜんそくなど
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう) かぜなど
麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう) ぜんそく、気管支炎など
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう) 神経痛、関節痛など
薏苡仁湯(よくいにんとう) リウマチなど
大青竜湯(だいせいりゅうとう) かぜ、ぜんそくなど

 

マオウが使われる漢方薬の代表例としては↑になります。とくに、「葛根湯」「麻黄湯」は最近ではかなりメジャーになってきており、インフルエンザのときに処方されることも多いですし、「風邪を引くたびに薬局で買って使っている」なんて人もいるでしょう。

 

これらの漢方薬にはマオウが入っているので、もし服用するのであれば、その間の防風通聖散の服用はお休みするのが無難です。併用しなければ特に大きな問題はないので、優先順位を考えれば防風通聖散をいったん休止するのがよいでしょう。

 

もちろん、知らずに併用しても何かトラブルになることは少ないですが、用心するのにこしたことはありません。

 

エフェドリン含有製剤

 

エフェドリンというのは、マオウに含まれている成分のことで、気管支拡張作用があります。そのため、せきをとめる作用を期待して、市販の風邪薬に配合されているケースがあります。

 

会社名 薬品名
エスエス製薬 新エスエスブロン錠エース、エスタックイブファイン
大正製薬 パブロンエースPro微粒、パブロンメディカルなど
第一三共ヘルスケア 新ルルA錠s、新ルルAゴールドDX、ルルメディカルドロップGなど

 

↑はメジャーな市販風邪薬の中で、エフェドリンを含んだものの代表例となります。意外と、「普段使っている薬」の中にエフェドリンが入っていることが分かります。

 

対処方法としては、まず第一に「風邪の治療中は防風通聖散を休む」ことです。併用そのものが問題なのであって、エフェドリンが悪いというわけではないので、風邪薬を飲んでいる間、防風通聖散を休止しておけば大きなトラブルにはならないでしょう。

 

もう一つは、「エフェドリンの入ったものを避ける」という方法があります。エフェドリンが入っている風邪薬の箱の成分表を見れば「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」などの記載があるので、そういった商品を避けるようにすればよいのです。エフェドリンが入っていない市販薬もたくさんあるので、そういったものを選ぶのも手です。

 

いずれにしても、事前知識があれば簡単に併用は避けられます。

 

カンゾウ含有製剤

 

カンゾウ(甘草)も生薬の一種となります。「グリチルリチン配糖体」が含まれており、鎮痛や抗炎症、咳止めなどの効果があります。防風通聖散にも含まれています。なので、マオウの場合と同じく、「カンゾウ含有製剤」というのは、「カンゾウが含まれた漢方」と同じ意味と考えてOKです。

 

カンゾウにはさまざまな効果があるものの、確率は低いですが「偽アルドステロン症」のリスクがあることがわかっています。そのため、防風通聖散と併用すると、偽アルドステロン症のリスクが少し上がってしまうことになります。そのため、併用注意とされているのです。

 

漢方薬 効果・効能
葛根湯(かっこんとう) かぜ、インフルエンザなど
四逆散(しぎゃくさん) ヒステリー、いらいら感など
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) けいれん、ひきつりなど
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう) 自律神経失調症など
小柴胡湯(しょうさいことう) 食欲不振など
補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 疲労感、食欲不振など
六君子湯(りっくんしとう) 胃炎、逆流性食道炎など

 

カンゾウを含んだ漢方は非常に多いので、代表例を↑にまとめました。マオウの場合とおなじく、葛根湯がラインナップされているので、ダブルの意味で防風通聖散との併用は避けたほうが良いということがわかります。

 

その他、「芍薬甘草湯」や「補中益気湯」、「六君子湯」など、有名な漢方薬にもカンゾウが入っているので、利用中の場合は防風通聖散の併用は避けたほうがよいでしょう。

 

対処法ですが、まずカンゾウが含まれる漢方は種類が多いので、もし常用している漢方があるなら、カンゾウが入っているかどうかはチェックしておいたほうがよいでしょう。入っていない場合は問題ありませんが、もし入っている場合は優先順位を考え、肥満症対策については防風通聖散以外の方法を選択したほうがよいでしょう。

 

防風通聖散を飲んでいて、後から漢方を追加する場合も、カンゾウが入っているかどうかはしっかりチェックしましょう。

 

グリチルリチン酸製剤

 

「グリチルリチン酸」というのは、カンゾウ由来の成分名のことです。抗炎症作用があるため、抗アレルギー薬や風邪薬などに配合されるケースがあります。市販薬に含まれることもあるので、エフェドリンの場合と同じく成分表を見て対処するのがよいでしょう。

 

また、グリチルリチン酸は抗炎症作用があるということで、コスメなどに含まれることでも知られています。女性であれば、なじみ深い成分名と言えるでしょう。そうなると、「化粧品も併用になっちゃうの?」という疑問が出るはずです。

 

ただ、化粧品に含まれるグリチルリチン酸については、厚生労働省で分量が管理されており、少量となっています。しかも経口摂取ではないので、影響はほとんどないと考えられています。なので、化粧品との併用についてはあまり不安に感じる必要はありません。ただ、化粧品の影響がほとんどないとはいえ、防風通聖散の影響がなくなるわけではないので、偽アルドステロン症については頭の中に入れておきましょう。

 

まとめ

 

まず第一に、「併用禁忌」となる医薬品は存在しません。なので、無条件に併用がNGとなる医薬品はありません。

 

第二に、「併用注意」については意外と種類が多くなっています。ただ、処方薬に関しては、医師にしっかりと「防風通聖散を飲んでいます」と申告すればリスクは抑えられます。

 

問題は、知らずに市販薬と併用してしまうケース。中でも併用しやすいのが「葛根湯」などのマオウ・カンゾウが含まれた漢方や、エフェドリン・グリチルリチン酸などが含まれた市販薬です。事前に知識を入れておき、これらの医薬品を利用する間は防風通聖散の服用は休むというのが、無難な対処法と言えるでしょう。

 

なお、グリチルリチン酸が含まれた化粧品はいろいろありますが、経口摂取ではないので基本的には併用しても問題になることはありません。